第209章 これは賭けの条件にできない

エンジンの轟きが水野佑奈の耳元で唸り、タイヤが路面を引っかく甲高い悲鳴が重なった瞬間――ずらりと並んだ高級レーシングカーが、放たれた矢のように「シュッ」と飛び出した。

少年たちの笑い声が遠くから近づいてくる。気づけば佑奈は、レーシングカーのスタート地点を見下ろす位置まで歩いていた。

有川菜央は、こんなにたくさんの車が一斉に走り出す光景を見たことがない。周囲の旗を振って叫ぶ声も相まって、好奇心が抑えきれない様子で佑奈の手をぐいぐい引っ張った。もっと近くで見たい、と。

小林圭吾が反対側の細い道を指さす。

「こっちから下りられる。菜央、怖がらないんだな。しかも人を引っ張って見に行くとか」

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